広報だいごNo.716
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 広報だいごでは、今月号から優秀作品6作品を続けて掲載します。また、入賞作品39点が掲載された作文集を大子町立中央公民館で配布していますので、ぜひご覧ください。町長賞ぼくのおばあちゃんだいご小学校6年 島崎 剛成  「いらっしゃいませ。ありがとうございました。」 ぼくのおばあちゃんは、ラーメン屋を営んでいました。夏休み最後の日、店の前にはラーメンを待つたくさんの人が並んでいました。そして、その日は店をたたむ日でもあったのです。店をやめることを知った大勢のお客さん達が最後に食べようと来てくれたのです。あんなに多くの人達にしたわれているラーメン屋だったことを、改めてすごいと思いました。みんなが「おいしかったよ。この味が食べられなくなるなんて残念だ。」と言ってくれたそうです。みんなにおしまれつつ辞めることが出来たおばあちゃんは幸せだと思います。 おじいちゃんがなくなってから六年、おばあちゃんは必死になって店を守り続けてきました。店が休みの日でも、材料の仕こみをしたり、ふだん行けない遠い店に買い物に行ったり、店のために働いてきました。とても大変そうだったけど、ラーメンを作ってお客さんと話しているおばあちゃんはとても生き生きとしていました。 店のかべには、昭和四十五年に開店した時の店の写真がかざってあります。以前当時のことをおばあちゃんに聞いたことがあります。そのころ、大子町はとてもにぎわっていて、店はとてもいそがしかったそうです。朝九時から野菜をきざんだり、店のそうじをしたり開店の準備が始まると、今度は出前の注文の電話がかかってきます。十一時に開店すると、おじいちゃんは、休むことなく次々と料理を作っていきます。それをパートのおばさんが店のお客さんに運び、おばあちゃんが出前に持っていきます。やっとお昼を食べられるのは午後三時、それでもお客さんが来れば、食べるのをとちゅうにして店にもどらなければなりません。「若いからできたんだよ。」昔を思い返して、おばあちゃんはなつかしそうにしていました。 店を閉めた次の日、ぼく達家族はおばあちゃんのラーメンを食べに行きました。さっぱりした正油味のラーメンは、最高においしくてこれでもうたべられなくなると思うと、ぼくは泣きそうになりました。「ごちそうさまでした。おいしかったよ、今までありがとう。」と言っておばあちゃんに花束をわたしました。「ありがとうございました。剛成が最後のお客さんでよかったよ。」おばあちゃんは少しなみだぐんでいるようでした。ぼくは、あの味を一生忘れません。 数日後、開店した時と同じように店の前でみんなで写真をとりました。となりにいるおばあちゃんはどこかほこらしげに笑っているように見えました。おばあちゃん、長い間おつかれさまでした。■問合せ 教育委員会事務局 生涯学習担当 ☎72-114811Public Information DAIGO April 2018

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