全国の消費生活センター等には家庭等で利用する据置型蓄電池(以下、家庭用蓄電池)に関する相談が多く寄せられています。相談件数は近年増加傾向にあり、2019年度には1,000件を超え、2020年度は1,314件です。
2009年に開始された「余剰電力買取制度」と、2012年に開始された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」による住宅用太陽光発電の固定価格での買取期間は10年と定められており、2019年以降、買取期間を順次満了していきます。災害時にも役立つ家庭用蓄電池を用いた自家消費は、買取期間満了後の選択肢の一つです。
相談事例をみると、事業者の突然の訪問等をきっかけに「この値段は今日限り」等と家庭用蓄電池の購入を急かされたり、長時間勧誘されて、冷静に十分な検討ができないままその場で契約しているケースが目立ちます。また、訪問時に電力会社の関連会社をかたられたり、太陽光発電設備の無料点検で訪問した事業者に、家庭用蓄電池を勧誘されているケースもみられます。
そこで、トラブル防止のため相談事例を紹介するとともに、消費者への注意喚起を行います。
相談事例
太陽光パネルの無料点検で訪問した事業者に嘘の説明で勧誘された。
事業者が「市から委託された」と太陽光パネルの無料点検で訪問した。後日点検してもらったところ、「売電するための装置の一部が壊れている」「太陽光パネルが破損している可能性が高い」等と説明された。最初に訪問した担当者から、「売電するための装置の修理をするよりも家庭用蓄電池を購入した方がいい」と勧誘され、「国の補助金が出るので安くなる」と言われたこともあり、約200万円の家庭用蓄電池の契約をした。ところが後日、訪問した工事担当者からは「売電するための装置は壊れていない。部品もモーターも正常だ」と言われた。勧誘時の説明と異なり、事業者に対して不信感が募ったので解約したいがどうすればよいか。
その他、以下のような相談も寄せられています。
既に太陽光発電設備を導入している消費者に対して
- 以前太陽光パネルを契約した事業者に契約金額等について十分な説明なく勧誘された。
- 「今なら工事費、設置費無料」等と長時間勧誘された。
- 事業者から「補助金の申請は代行する」と説明されたが実際は申請されていなかった。
太陽光発電設備を導入していない消費者に対して
- 電力会社の関連会社を名乗る事業者に「電気料金が安くなる」と勧誘された。
- 「安くできるのはあと2件」等と急かされ、よく検討せずに契約してしまった。
相談事例からみる特徴と問題点
- 契約のきっかけは主に事業者の突然の訪問で、虚偽の説明をされているケースも。
- 事業者の断定的な説明や強引な勧誘により、冷静に十分な検討ができないケースも。
- 契約後の設置工事や補助金をめぐるトラブルも。
消費者へのアドバイス
- 事業者の突然の訪問に対しては、事業者名や目的等をしっかり確認しましょう。
- 家庭用蓄電池導入のメリットだけではなく、それに伴うコストも十分考慮しましょう。
- 必ずしも余剰電力の売電より自家消費する方が経済的なメリットが大きいとは限りません。
- その場で契約をせずに複数社から見積もりをとり比較検討しましょう。
- 契約するときは契約書の内容をしっかり確認しましょう。
- トラブルになったときには大子町消費生活センター等に相談しましょう。
詳しくは、国民生活センターホームページをご覧ください。