大子漆(だいごうるし)

桐原道明さん(大子町西金在住)

桐原道明さん(大子町西金在住) 漆の採取には、昔から、私どもの住む大子地方には「養生掻き」と「殺し掻き」の方法がありましたが、昭和の後期になってからは「殺し掻き」によって採取されるようになりました。10年から15年程育てて直径が15cm位になった木から、1年間でその樹の全ての漆を採取する方法ですが、掻き終った樹は秋に根元から伐採します。
 全てではありませんが、春になると80%以上の切り株から、一株に3・4本の新芽が出てきます。冬から春へ、その新鮮な芽吹きに自然の喜びを重ねて共にするのもこの頃です。

 夏を過ぎた頃一番丈夫な芽を一本だけ残すのですが、成木を切った根は地面の中に広い範囲に根を張っておりますので、成長も早く10年を過ぎると再び漆を採取できるようになります。
 また切り株から芽の出ない木は、切り株から数10cm離れたところから芽が出てまいります。この場合は、下草刈りを始めとする育樹には、心配りや注意が必要です。
 早朝5時、漆掻きの仕事は道具を携えて山に向います。朝早く山に出ての仕事は、涼しい時のほうが樹液の出る量が多いからです。昔は鎌等の道具は、朝研いで出かけたそうですが、今では「チャンポ」(漆壺)に前日の夕方油を塗り、次の日の朝までに壺を逆さにして置き完全に「チャンポ」の油を取り除き等、他の道具も、朝すぐに出られるように前日までには完全に準備しておきます。

 昔の人の早暁の道具の準備は、その日に始まる仕事への準備、祈りのように感じます。早朝より9時・10時頃までは漆の出が良いのですが、太陽が木の正面、頭上に見上げるように昇ってくると気温が上がり、木は身を守るために水分を枝や葉の方に集めて蒸発をさせながら樹を守る、その自然現象によって漆液の出るのが鈍ってくるのです。うるし掻きの皆さんが朝早いのはこのような理由です。
 私が漆の道に入ったのは昭和48年、当時は大麦、コンニャク芋、楮等を栽培いたしておりましたが、作物の値下がりが出生活の先行きが困難不安定になりました。その頃、小野瀬良一先輩の「適地適作」の言葉が思い浮かび、その実践に・・・と、私の漆採取の道に入ったのです。

 先輩の方々の様々な指導や体験話し、それを歩基本としながら自分なりに採取技術、道具の工夫等を研究、努力を重ねてきました。3・4年も過ぎた頃、当時の組合長・神長捷翁の言葉の中に「道ちゃん、塗師の方が言うんだが、生水と乳白色の樹液を別々にチャンポの中に掻き入れて混ぜ合わせるよりも、切り目(溝)の中で混合した漆液をチャンポに書き入れたほうが良いという、何か“微妙に違うようだ”と言うのだが、試してくれないかなあー」との話しがあり、試したことがあります。確かに違う気がしました。
 樹液の七変化、と誰かに言ったことがありますが、樹液の七変化に気づいた糸口となったものであります。
 初めに(切り目)澄んだ生水、後を追うように乳白色の液がにじみ出ます。「チャンポ」に入れると茶色に変わります。大きな樽に入れておきますと山吹色に変わり、水分を少なくすると黒味を帯びた茶色になり、完全に水分(クロメ作業)が失われると透明な感じの茶色に変わり、更に精製すると完全な透明にと大変身するのです。正に漆の液は「生き物」、生きていると実感として感じます。

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