大子町×JR×Avex 水郡線駅舎アートコンペティション 実施のご報告
令和3年に公募・展示が行われた「大子町×JR×Avex 水郡線駅舎アートコンペティション」の総括として、イベントの内容をまとめました。
【アーティストインタビュー】大子町×JR×Avex 水郡線駅舎アートコンペティション【作品紹介】
目次
1.開催の経緯
3.各駅舎の展示
6.実施スケジュール
7.連動企画
スタンプラリーキャンペーン SNS投稿キャンペーン 袋田ミュージック
1.開催の経緯
大子町は、平成29年よりアートを活かしたまちづくり事業を展開、その後もアートプロモーション事業として町内でのアート作品展示やイベント、アーティスト・イン・レジデンスを行ってきました。
平成30年3月 大子まちなかアートウィーク2018 開催
滞在制作施設 大子アーティスト・イン・レジデンス(DAIR) 完成
令和元年3月 大子まちなかアートウィーク2019 開催
令和 2年2月 大子まちなかアートウィーク2020 開催
そして令和3年、東日本旅客鉄道株式会社、クリエイター・アーティストのエージェントを行うAvex art agency projectとタッグを組み、令和元年の水害により被害を受けたJR水郡線を舞台に、水郡線駅舎を賑やかにし、人々の交流を促すアートを募集する「水郡線駅舎アートコンペティション」を開催いたしました。
2.コンペティション内容と入選者
コンペティションはJR水郡線 常陸大子駅、袋田駅、上小川駅の3駅におけるアートのプランを募集し、各駅1名(組)1作品を選定するものです。その後、2~3カ月の制作期間を経て、駅舎へ作品を展示します。
審査員4名の厳正なる審査の結果、審査対象89作品の中から3名の入選者が選ばれました。
審査員
井関 悠 (水戸芸術館 学芸員)
石井 瑞穂 (元 アーカスプロジェクト プロジェクトマネージャー)
鈴木 弘幸 (東日本旅客鉄道株式会社 水郡線営業所長)
高梨 哲彦 (大子町長)
入選者
常陸大子駅 照山 麻衣
袋田駅 湯ノ迫 史
上小川駅 橋本 次郎
審査会の様子
3.各駅舎の展示
常陸大子駅
アーティスト 照山 麻衣(てるやま まい)
作品名 大子町ジオリボン
開場時間 午前5時頃から午前0時頃まで
駅所在地 茨城県久慈郡大子町大子710
常陸大子駅 と 作品イメージ
大子町ジオリボン
キャンバスにアクリル、和紙、砂、金属粉、箔
大子町の美しい自然、清流、積み重なる太古の地層、それらの豊かなミネラル、マテリアルの色彩、造形イメージをキャンバスを支持体に、大子那須楮原料に制作された和紙を使用し制作しました。水害被害から復興した水郡線の全線開通により、様々な町から来る人々、大子町で行き交う人々もまた新しく繋がっていくことをイメージし、リボンは「繋ぐ・結ぶ」という象徴としてモチーフにしています。
照山 麻衣
茨城県日立市在住
佐賀大学文化教育学部美術・工芸課程卒業
女子美術大学アート・デザイン学科 非常勤講師
壁画制作を通じ、空間を変えるアートを目指す。
全国の商業施設、ホテル、病院にて、アートワーク、壁画制作を行う。
Instagram @mai_c.l.k.h.k.l.c_
袋田駅
アーティスト 湯ノ迫 史(ゆのさこ ふみ)
作品名 袋田プラットホーム
開場時間 常時
駅所在地 茨城県久慈郡大子町袋田192
袋田駅 と 作品イメージ
袋田プラットホーム
設計:湯ノ迫 史
施工:株式会社椎名工務店、
見代建築(見代 真一)、
大塚板金(大塚 幸男)
材料提供:有限会社吉成木材
台風19号による鉄橋の陥落で、袋田駅から常陸大子駅間は一年以上もの間、水郡線の運行が停止していました。
その為、この駅ホームに電車が戻ってきた風景そのものが、台風被害からの復興を表していると言えます。
復興の舞台であるこの場所に、新たなプラットホーム(舞台) を想像しました。舞台上からは戻ってきた日常、水郡線と美しい緑を眺めることができます。そして、水郡線の車窓からは、舞台上で人々が歌い踊る姿が垣間見えます。この景色が、復興の喜びによって更新された新たな日常風景となる事を期待しています。
湯ノ迫 史
東京都大田区在住
1990年 東京生まれ
2016年 東京芸術大学美術学部修士課程修了
2016~2020年 一級建築事務所 アトリエ・ワン勤務
2021年 個人の活動を開始
Instagram @ojisako
上小川駅
アーティスト 橋本 次郎(はしもと じろう)
作品名 奥久慈ハーモニー
開場時間 午前8時から午後4時まで
駅所在地 茨城県久慈郡大子町頃藤3528-2
上小川駅 と 作品イメージ
奥久慈ハーモニー
27’30" 大子の音
その土地には、そこでしか聴くことの出来ない、文化や歴史、風土を背景とした象徴的な音があると考えています。「奥久慈ハーモニー」は、まず音のリサーチ(フィールドレコーディング)を行い、大子の象徴的な音を探すことから始まりました。人々の暮らしや、豊かな自然から聴こえてくる様々な音。それらをモチーフとしてつくられた大子の音世界を、この上小川駅で響かせています。サウンドマップには、レコーディングを行った場所・音の種類を記載しています。大子の暮らしや自然が、時に断片的に、時に多層的に、様々な音として現れます。「奥久慈ハーモニー」は、大子の魅力を音で伝えるプロジェクトであり、そこに暮らす人々の想いや、様々なストーリーが宿っています。
橋本 次郎
楽曲や音を主軸としたアート作品の他、ある土地のサウンドスケープ(音の風景)を作品化する事を目的に、各地でフィールドレコーディングを行い、それをモチーフとした作品を制作しています。
HP http://zeit-label.com
4.滞在中のリサーチ・制作の様子
【左】大子町の歴史に詳しい大金氏(中央)と橋本さん、照山さん。 【右】制作中の照山さん。どちらも滞在制作場所である大子アーティスト・イン・レジデンス(DAIR)にて。
八溝産材についてリサーチ中の湯ノ迫さん、橋本さん。どちらも有限会社吉成木材にて。
【左】DAIRで打合せ中の湯ノ迫さんと役場職員。 【右】器而庵オーナー辻氏に大子漆の話を聞く橋本さん。
【左】橋本さんの録音機材。 【右】上小川駅ホームに立つ橋本さん。
【左】DAIRにて制作中の照山さん。【右】常陸大子駅で設営中の照山さん。
【左】ご協力いただいた椎名工務店で制作中の湯ノ迫さん。【右】設営中の「袋田プラットホーム」
【左】上小川駅で設営中の橋本さん。【右】役場職員と設営完了の確認。
5.アーティストコメント
照山 麻衣 会場:常陸大子駅
都内から日立市に移住してきてまもなく、
今回のコンペティション知り、制作をきっかけに初めて大子町に訪れました。
水害の被害からの復興、賑わい創出の一つとして、
外部からアーティストを呼んで、アートのイベントを打ち出すということに、
町の文化色の豊かさに裏打ちされた、しなやかさを感じました。
アーティストとの交流の環境はもとより、町役場の方々、県の職員、
地域おこし協力隊、それぞれ担当されている方々との連携が密に図れたことにより
大子町の豊かな環境をテーマにした作品を作り上げることが出来ました。
ご協力頂いた皆様のおかげです。関係各位の皆様に深く感謝申し上げます。
今回アートを通じて復興プロジェクトの一部に関われたことは大変意義深い経験となりました。
末尾になりますが、引き続き日立市に在住しておりますので
アートを通じた県北の賑わい創出の一助になれるよう尽力して参ります。
ありがとうございました。
湯ノ迫 史 会場:袋田駅
「大子町駅舎アートに寄せて」
今回は大子町駅舎アートに参加させて頂きありがとうございました。
初めて大子に来た時から、この町の資源の豊富さと、どこか手をつけられていない自然の豊かさに驚かされ、また、町の方々の協力体制には感銘を受けました。アートの作品は時に個人の領域に限定されてしまうものですが、今回は作家が町に参加しやすい環境が整っていたと思います。私は建築を学んできましたので、何かを作る時には必ず多数の人の手が必要になりますが、町役場の方々のおかげで、地元の大工さんや工務店さん、製材所の方に直接アクセスすることができました。これは作品を作る上で大きなポイントだったと思います。私は今回のような現地に滞在しながら作品を制作するプログラムに参加した事がなかったのですが、大子町のDAIRや上記のような町役場のサポート体制は作家にとって、とても恵まれた環境です。そして、この町の自然と歴史に触れながら作品を作る過程は、ものづくりをする誰においても喜びに満ちていると思います。これからも、大子町がたくさんの作家が芸術活動をできるプラットフォームであることを願っています。またいつか、ここで何かを作りたいです。
橋本 次郎 会場:上小川駅
2016年に大子町を訪れる機会が有り、いつかこの町で作品を制作したいと考えていました。
今回は大子町駅舎アートに参加させて頂きありがとうございました。
大子町の文化を伝える漆や硯、林業。古くからの歴史を伝える神社や寺。八溝山から流れる久慈川や、袋田の滝をはじめとする豊かな自然。そこから聴こえてくる様々な「音」をモチーフとした「奥久慈ハーモニー」を上小川駅で響かせました。
展示期間中、地元の学校の皆さんから「校内で放送したい」というお話がありました。駅舎からはじまり、かたちを変えながら大子の町で活かされること。その土地で生まれ、その土地で生き続ける作品を、今後も残していきたいです。
2021年に多くの時間を過ごした大子町は、自身にとって故郷のような町となりました。
6.実施スケジュール
令和3年 1月19日 特設サイトを公開
2月 1日 プレスリリース
2月10日 募集開始
3月15日 募集締め切り
3月26日 審査会
3月30日 入選者発表
4月~ アーティストによるリサーチ・制作開始
7月 3日 展示開始
12月19日 展示終了
7.連動企画
スタンプラリーキャンペーン
常陸大子駅・袋田駅・上小川駅にオリジナルのスタンプを設置し、専用の台紙に3駅全てのスタンプを集めると、先着でアーティストがデザインしたマスクがもらえるスタンプラリーを開催しました。
展示期間中に第1弾・第2弾とマスクのデザインが変わり、さらに駅周辺の協力店舗で3つスタンプを集めると抽選で「大子のいいもの」がもらえるキャンペーンにも応募できます。応募総数は第1弾69件、第2弾70件。その中から25名ずつ、合計50名の方に「大子のいいもの」が贈られました。抽選の様子は、後日動画や写真で公開されています。
【抽選結果】スタンプラリーキャンペーン第1回抽選会【大子町×JR×Avex 水郡線駅舎アートコンペティション】
SNS投稿キャンペーン
インスタグラムとツイッター上で、ハッシュタグ「♯水郡線駅舎アート2021」を使った展示に関連する投稿を募集しました。募集期間終了後、キャンペーンの規定に沿った投稿からインスタグラム・ツイッター各3件の投稿が選ばれ公開されました。
●ツイッター入選者
@oyakotetu さん
@DJunsuzu4 さん
@Rika_10127 さん
●インスタグラム入選者
@mijiki_fuyuta さん
@narisai_jp さん
@gorogarian さん
袋田ミュージック
令和3年10月3日、袋田駅の作品「袋田プラットホーム」を本物の舞台として、無観客で開催された音楽イベントです。インスタグラムにてライブ配信された後、大子町公式YouTubeチャンネルで動画が公開されています。
ザ・ムーサ(バンド)https://youtu.be/P3L-mOfXyp8
大塚 浩(弾き語りシンガー)https://youtu.be/90OJl-arqd0
元気さん(エレキギター)https://youtu.be/2w7jtdka-1c
佐藤 駿(シンガーソングライター)https://youtu.be/EIWRs_UwRNc
大子アーティスト・イン・レジデンスのInstagram公式アカウントにてアーカイブ映像を一部公開しています。
8.大子町アート事業 今後の展開
大子町の魅力や資源を活かし、大子アーティスト・イン・レジデンスを拠点に情報発信しながら、皆様に喜んでいただけるような事業を展開してまいります。今後も大子町の取組にご注目ください。
大子アーティスト・イン・レジデンス SNS
インスタグラム
Instagram @daigoartdair
フェイスブック
Facebook DAIR
問い合わせ先
このページに関するお問い合わせはまちづくり課です。
本庁2階 〒319-3521 大子町大字北田気662番地
電話番号:0295-72-1131 ファックス番号:0295-72-1167
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- 2022年3月2日
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