くらし・行政

【移住者通信Vol.5】川口さん夫妻

川口貴之さん・華子さん
NSだいごファーム
移住者通信5-2

なぜ大子町に移住したの?

(貴之さん)

 最初は那須方面に物件を探しに行ったのですが管理別荘地ばかりで、自分がやりたい古民家を好きなようにDIYする、というイメージとちょっと違うなと感じました。そしてがっかりしながら空き家バンクのホームページをいろいろ見ていたら、那須と同じような緯度で那須から1時間弱で行ける大子町に古民家がいくつもあるのを知りさっそく見に行きました。その後何度も訪れている内に、大子町にどんどん魅力を感じるようになっていきました。東京から車でアクセスするのに常磐道はあまり渋滞しないことも私にとっては非常に好都合ですし、茨城県自体、色んな農作物で全国上位に入る農業大国。肥沃な土地ですし、海もあります。調べれば調べるほど魅力的でした。
 ある程度調べたところで、妻に相談すると、妻も同意してくれたので、空き家バンクを利用し、今では東京との二地域居住を始めたところです。
 東京の知り合いの多くの人は、「大子町」を知りませんでしたが、私はもともとキャンプが好きで、子どもが小さい時には毎週のようにキャンプに行っていたおかげで「グリンヴィラ」によって大子町を知っていました。温泉や山、自然が豊かで、良い意味で昭和レトロな大子町がすごく気に入っています。

今までの経緯は?

~空き家を購入してから~

 敷地内にある畑で何を作ろうか考えていたところ、東京の知り合いのお菓子屋さんに「さつまいもを作ってほしい」とお願いをされました。調べてみたところさつまいもは、苗を植える時期と収穫の時期は忙しいですが、それ以外の時期はそこまで手がかからないので二地域居住で育てる作物として好都合だと感じました。育てたさつまいもを買い取ってくれる人がいるという安心感もあり、さつまいも栽培に挑戦しようと決めました。作付け規模を大きくしたいと思い近所にある使っていない畑などをお借りすること出来ましたが、大子町は礫が多く、大きな石がゴロゴロと出てきて耕すのに苦労しましたが、40アールほどの畑でさつまいもの栽培を始めることが出来ました。
 建物については、まず母屋は規模も大きくすぐには完成しないので。当面の居住拠点として、敷地内にある小屋からDIYをして仕上げ、そこを拠店として母屋に取り組んでいます。家の引き渡しが令和3年11月にあり、12月から翌年2月ごろまで小屋を住めるようにする作業をしました。大子町の厳しい寒さとの闘いもありましたが、断熱材を貼ったり床を作るところから全部DIYで作業をしました。単なる物置小屋でしたが、今では寝泊まり出来る状態に改修出来ています。これから挑戦する母屋改修の良い練習にもなりました。
移住者通信5-3

今の生活は?

(貴之さん)
 東京での仕事もまだしばらくは辞められないので、平日は東京にいることが多いですが、木曜日か金曜日~月曜日くらいまでは大子町にいることが多いです。ご近所の人は親切な方が多く、別荘感覚で購入した家ですが、今では完全に移住したいと思っています。そのためにも、母屋を早く快適に仕上げたく奮闘しているところです。
 先日は古民家を買いたいと思うきっかけになったYoutubeチャンネルで全国のDIYを手伝って旅するという企画があり応募したところ、当選し一緒に母屋の改修作業をすることが出来ました。間取り変更で壁を壊したり、腐ってしまった床下を補修したりしました。自分の理想のイメージに近づけるためにはまだまだ大規模な改修が必要なので、しばらくは母屋のDIYに時間がかかりそうです。頑張って一年くらいで形にしたいと思っています。

(華子さん)
 水源近くにワサビが自生しているのを見つけたり、季節ごとに咲く初めて見る花の名前を調べたり、毎回新しい発見があります。
 また、雑草の処理などやることは多いですが、菜園での野菜作りが楽しいです。

(ご夫婦)
 さつまいも栽培を始めたので、それを販売するための法人「NS大子ファーム」を仲間と一緒に設立しました。
 さつまいもの栽培、販売からそのペーストを作る工場、洋菓子の製造工場などを作りたいと考えて皆で準備しているところです。材料の生産から販売までの一連すべてを大子町で行い、メイドイン大子のお菓子作りを目指しています。
 皆で一緒に5月6月はさつまいもの畑づくりと苗植えを行い、初年度は10トン以上の収穫が出来れば良いなと思っています。農業は初めてなので、まずはほとんどの作業を手作業で挑戦しました。大子は石が多いようなので、自家製の石除去専用のアタッチメントなども作ってみたいと思っています。
 さつまいもは石が多いと形が悪くなったりするようですが、お菓子の原材料としての栽培なので形はあまり気にせず沢山収穫し、継続していけるようにしたいです。

今後挑戦したいことは?

(貴之さん)
 母屋の古民家を、築100年の重みと味わい深い雰囲気を感じられるように改修をしていきたいです。敷地のすぐ横には初原川が流れているので、ウッドデッキを作り、川のせせらぎを聞きながら、畑の野菜をおつまみにビールを飲むことがとりあえずの目標です。

(ご夫妻)
 仲間と始めたさつまいものペースト・お菓子工場を形にしたいです。畑も拡大していきたいと思っています。今は40アールほどですが、ゆくゆくは5ヘクタールまで増やしたいです。自分たちだけでは大変なので、町内でさつまいもを育ててくれる人も探していきたいです。

(華子さん)
 四季を通して野菜作りに挑戦したいです。
 料理が好きなので未完成のキッチンを整備して、大子町の方々に地元ならではの野菜料理など教えていただけたら嬉しいです。また東京で働いてるオンラインフィットネスの仕事をテレワークという形で大子町でもしています。そういった形式で出来る仕事をもっと広げていきたいと思っています。

(貴之さん)
 自分達が新規就農をしたので、その経験を活かして将来的には新規就農者への支援をしていきたいです。就農のアドバイスや作ってくれたさつまいもの買い取りなどを買い取りサポートすることでスタートアップ支援になるのではないかと思っています。中小企業診断士として活動していた経験により事業計画などの相談に乗ることも出来ますので、需要があればそういったこともお手伝いしていきたいです。
 興味がある人がもっと気軽に農業を始められることが出来、それが耕作放棄地などの解決になってくれれば嬉しいです。もしさつまいも栽培をしてくれる人がいれば、苗の提供もしていきたいと思っています。

 この間もご近所の人から、形は悪いが味は問題ない農作物を使えないかと相談を受けて、仲間のお菓子工場でジャムを作りました。いつも助けていただいているご近所の方が逆にそういった相談をしてくれたことが嬉しかったので、少しでも地域の力になれればと思っています。

大子町を自分でPRするとしたら?

 昭和レトロな雰囲気がとても良い町です。あと、(抽象的な表現になってしまいますが)人が温かいと本当に思います。適度な距離感を持って、頭の片隅で気にかけてくれる優しさがあります。畑仕事でも、近所の人がすごく良いタイミングで声をかけてくれます。困っていると耕運機などを貸してくれたこともあります。干渉しすぎず、見守ってくれる適度な関係と優しさがとても好きです。
 それと古民家が多いので、自分でDIYしたい!と思う自分のような人間にとっては、魅力的なことだと思います。敷地も広く、農業を始めるには環境がすごく良いなと思います。
 自分の家の敷地で育てた採れたての枝豆でビールを飲む。という東京では考えられない、すごく贅沢な体験ができます。

大子町に望むことは?

 食事をするところや若い人が集まれるような場所が少ないのが少し気になります。町の活気のためにもそういった場所が増えてくれると良いなと思います。しかし、そう思う反面で、このままであってほしいと思う気持ちも強いです。最初は遅くまで空いているお店が少ないことに戸惑うこともありましたが、暮らしてみると、それがすごく良いリズムで生活していけるんだなということに気が付きました。早起きして、暑くなる前に畑仕事などするので、自然と早寝早起きの習慣になります。このような生活が一番良いリズムなのかもしれないなと思うようになりました。
 東京よりも固定費が圧倒的に安いので、商売の形によっては物流コストがかかっても充分採算は取れます。企業誘致を今一度見直していただき働く場所が増えてくれれば、若い人も増えると思います。

 若者が増えることが町の活性化になると思いますし、町の将来に欠かせない存在なので、若者が増えることを望んでいます。

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