【移住者通信Vol.8】加藤さん夫妻
加藤さん夫妻(君美さん・明子さん)
令和4年秋、ご夫妻で東京から移住。
古民家風の住居の前に広がる畑で様々な野菜作りに挑戦。
夫の君美さんは、令和5年春、大子町観光協会の求人に応募し現在嘱託職員としてお勤めです。
なぜ大子町に移住しようと思ったの?
(君美さん)
私は仙台出身で、宇都宮の大学を卒業後、25年ほど東京でゼネコンや百貨店などに勤めていました。夫婦で長年東京暮らしを続けてきましたが、自然豊かな場所に移住したいとの気持ちが日増しに大きくなり、移住する2年程前から妻の実家がある常陸大宮市周辺で移住先を探しはじめました。
訪れて良いなと思った場所や妻の「川のそばで育ったので今度は山で暮らしてみたい」との希望から大子町と笠間市が候補にあがりました。そんな中、大子町の空き家バンクが充実していて、気になる物件も掲載されていたので相談をしました。ご担当の松田さんに親身に対応していただき、現在の「見晴らしが良く畑作業も思う存分できる古民家」をお借りすることができました。
(明子さん)
私は大子町のお隣、常陸大宮市出身です。大子町には子供の頃から遠足やりんご狩り、日帰り温泉などでよく訪れていてあちらこちらに思い出があり親しみを感じていました。
高校を卒業し上京後は美術やデザインを学び制作活動をしたり、公園の施設で働いたりしていました。そろそろ自然豊かな場所へ戻りたいと思いながらも東京の生活も楽しんでいた2019年の秋、台風による洪水で実家が被災してしまいました。片付けのため今までに無い頻度で東京と実家を行き来していると、遠いと思っていた距離は次第に丁度よいものに。手伝いに来てくださったご近所や親戚の皆様のあたたかさに触れているうちに、若い頃田舎は少し息苦しいと感じていた心も晴れていきました。田舎ぐらしの不安がいくつか解消されたことで移住に向かい動きはじめました。
(松田/インタビュアー)
田舎暮らしをしたいと考える方は、私のようにリタイア、セミリタイア世代が多い傾向があります。そんな中で、加藤さんのような働き盛りの世代は珍しいと思いますが、何か目標があってのことでしょうか?
(君美さん)
二人ともはっきりとした目標があって移住してきたというよりは、お互い自然豊かな環境で育ったためそろそろ田舎に戻りたいという思いや、東京にこだわる理由が無くなった、というのが大きいです。こちらで暮らしはじめてから夫婦そろって本が好きなので、ゆっくり読書のできる喫茶店を開きたいという夢ができました。
(明子さん)
目標がないと移住してはいけないのかな?という思いもあります。田舎ぐらしの番組でイキイキと夢を実現されている方々は素敵だし、憧れもあります。そう思う一方で移住するからには夢や目標を携えて行くべきなのかなと重たく感じてしまうこともありました。単に田舎に住みたい、自然豊かなところに戻りたいという気持ちだけでも十分なんじゃないかと思います。
心地よいと感じる場所に引っ越して、暮らしながら自分たちに丁度よい加減を探して(畑の大きさや敷地の広さなど)少しずつ生活を集めていく楽しみもあります。その過程で「これがあればもっと幸せなのにな」と心に浮かぶこともあると思うんです。夫の「ゆっくり読書のできる喫茶店を開きたい」という夢も、こちらに来て生活する中で生まれた「こんな場所があったら(もっと)楽しいね」という思いからです。
移住を決めてから、これまでの経緯は?
(君美さん)
令和4年9月に引っ越してきました。半年ほどは移住者交流会に参加したり、畑づくりをしながらのんびり新居の整備・整理をしていました。隣家との間隔が広いのでチョット大きな音で音楽を楽しめるようになりました。妻の実家の田んぼのお手伝いも始めました。
(明子さん)
車の免許を持っていなかったので、まずは自動車教習所に通いました。私は運転に向いていないという自信(笑)があり、不安いっぱいで通いはじめました。実技に少々てこずりながら、2ヶ月ほどで無事免許を手にすることができました。教官さんに、移住をきっかけに免許を取りに来るケースはあるのかお聞きしたところ、「車が無いと不便だから、と60代で通う方もいらっしゃる」とのことでした。
家庭菜園では、まずは何を作ろうかな?と思っていたところ、お隣の方が声をかけて下さって、玉ねぎとにんにくの育て方を親切に教えて頂きました。エンピツみたいな玉ねぎの苗が、だんだん成長して玉ねぎになっていくのを見ているのはとてもおもしろかったです。
(君美さん)
移住当初はどんな仕事をするか、特に決めていたわけではありませんが、丁度、昨年3月に大子町観光協会が職員を募集しており、応募し採用していただいて、嘱託職員として翌月より勤務、1年と数カ月が経ち現在に至ります。
(明子さん)
移住当初は、仕事はどうするの?と周囲に心配されましたが、夫はその場、その時を楽しむのが上手なので、移住して生活を始めてから見つける方が性に合っているのかな、と思っていました。東京に住んでいた時はお互い仕事の時間も休日もちぐはぐで、同じタイミングで食事することも少なかったのですが、現在は朝も夕も採りたての野菜たっぷりのできたてのごはんを一緒に食べられるようになって、小さな幸せですがそれだけでも引っ越してきて良かったなと思います。
(君美さん)
とれたての新玉ねぎのおいしさにはビックリしました。スライスしただけで立派なおかずの一品です。
現在の生活はどんな感じ?
(君美さん)
妻は外の仕事が好きなので、草刈りや野菜づくりなど、熱心に取り組んでいます。私は助手としてそのサポートをしています(笑)
(明子さん)
念願だった目の前に畑と野原が広がる場所に引っ越して、野菜を育てたり野原や生き物の観察に忙しい日々を満喫しています。野菜を「作って食べる」事に加えて「どう育つのか」にも興味津々なので、収穫できてもできなくても面白いです。畑に自生する多種多様な植物やそこに集まる生き物を眺めていると、一日はあっという間です。知らないことだらけなので、毎日驚きと発見の連続です。
(君美さん)
幼少の頃からの音楽好きが高じてレコード収集を長年続けていて、移住2カ月後という絶妙のタイミングで新たに出来た下野宮のレコード店「MELLOW(メロウ)」さんに開店初日から訪れ、今ではすっかり常連となりました。とても気さくで親切な店主さんと楽しく交流させてもらっています。レコード屋さんとのつながりから、矢田のコーヒーと家具の店「hajimari(ハジマリ)」さんで開催されたDJイベントのお手伝いを何度か経験、イベントチラシのデザインを担当しDJとしても参加しました。
今後挑戦したいことは?
(君美さん)
DJイベントなど、音楽を楽しめる催しの頻度を高めたいです。音楽の知識やデザインの技術を観光協会での仕事に活かしながら、町の人が元気になるような大きなイベントを実施したいと思います。
チラシのデザイン依頼もお待ちしています!
また、大子には新しいお店が増えたので、今までできていなかった分、改めて食べ歩きも楽しみたいです。
(明子さん)
畑まわりで植物に包まれて過ごす時間は楽しいですが、そろそろほどよい距離感を見つけて、日々の生活や観察の中で感じたことを絵や雑貨などで表現していきたいなと思っています。
夫と一緒にデザインのお仕事も増やしたいです。夫婦揃って口下手なのですが、その分、絵や文字、色などを組合せたデザインで想いを伝える方法を考えるのが好きです。その場に居なくても、想いを届けたり、分かりやすく伝えたり、誰かと誰かが出会うキッカケのお手伝いだったり。デザインの先に、伝えたい相手が喜ぶ姿が見える広告やチラシ、パッケージなどの制作に取り組んでみたいです。
大子町を町外の人にPRするとしたら?
(君美さん)
仕事で係わることもあるのですが、大子町ではYOSAKOI祭りや、花火、百段階段のひなまつりなど、町をあげての大きな催しが一年を通して行われているので、観光や近隣への旅と合わせてぜひこれらのイベントを楽しんでほしいです。観光協会でも取り扱っている「大子町イベントカレンダー」は町内で開催されるイベントが記載されていて、大子町を楽しみたい方にはおすすめです。写真も素敵で、春には写真を見て気になった沓掛峠の桜を観に行きました。山の頂上に現れる絶景は心を奪われる美しさでした。
(明子さん)
水郡線を利用して大子町の景色を味わって頂きたいです。久慈川をまたぐごとに川の表情が変わったり、大子町に近づくにつれて緑の気配がどんどん濃くなっていく様子は見飽きることがありません。四季それぞれの景色の味わい比べも楽しいと思います。
食べものもおいしいものがたくさんありますが、私のおすすめは❛りんご❜です。昔から大子のりんごのファンで上京後も毎年母が送ってくれていました。蜜たっぷりでジューシーな大子のりんごは最高です。更に移住してから品種もたくさんあることを知りました。自分好みの品種を探すのもだいご味です。
(君美さん)
移住やUターンをして新たにお店を始めたり、創業している方や知人も多く、新しいことに挑戦するにはとても良い町だと思います。
今後の大子町に望むことは?
(君美さん)
ぜひ図書館を充実させてほしいです。町の人が通いやすい立地の良い場所に移転したり、蔵書を増やしたりしてもらえればとても嬉しいです。
(明子さん)
大子町の図書館は町民以外の方も利用できる所が開かれていて良いな、と思っています。又、近隣の矢祭町や塙町も町民以外も利用できるので、それぞれ個性のある図書館をめぐり歩くのは面白いです。
私たちも、各館で出会った本をおいしいお茶とともにゆったりと堪能できる場所(ブックカフェ)をつくりたいです。家にあるデザインの本なども並べてデザインの相談ができるコーナーを設けたり。
移住に関しては、一年単位でロッジを借りて農業体験ができる施設なども良いと思います。移住してきた時の生活がイメージしやすくなりますし、キャンプが好きな方に興味を持ってもらうこともできると思います。農業体験で地元の方と繋がりができれば、新しく農業を始めたい人が移住するきっかけになりますし、事業継承したい人が多い大子町に合っていると思います。
まちづくり課より
この度は取材にご協力いただき、誠にありがとうございました。
大子町に加藤さん夫妻のような方々が加わってくださり、とても嬉しいです。
今回のインタビューを通じて、お二人の温かい生活の様子が伝わりました。
東京でご活躍された経験や、移住者ならではの新しい視点は、大子町にとって非常に貴重だと思います。
いっしょにこの町を盛り上げられるよう、私たちも頑張ります!
また、転居の際に大きな目標を立てていなくても、意外と何とかなるんだ。というお話は、いま移住を考えている方にも心強いものだったと思います。
人柄がよければ知らない土地に越してきても大丈夫ということですね!
デザインやDJ活動をぜひ大々的に行っていただきたいですし、とてもたくさんの種類の野菜を育てていらっしゃるので、その体験談に興味がある人も多いと思います。ブックカフェも、実現を心待ちにしております!
図書館プチ・ソフィアにつきましては、オンライン蔵書検索システムの構築や、夏休み・冬休みの読書イベントの開催など、少しずつ整備を進めています。
より良い環境で読書を楽しめる町にできるよう、今後ともご意見・ご提案をよろしくお願いします。
(図書館の管理:教育委員会事務局生涯学習担当)
問い合わせ先
このページに関するお問い合わせはまちづくり課 まちづくり担当です。
本庁2階 〒319-3521 大子町大字北田気662番地
電話番号:0295-72-1131 ファックス番号:0295-72-1167
メールでのお問い合わせはこちら- 2024年8月7日
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