【移住者通信Vol.9】西宮さん夫妻
西宮さん夫妻(聡さん・智美さん)
平成29年に大子町空き家バンクに利用希望者登録し、定年後の終の棲家になる空き家をお探しでした。
令和5年5月に浅川の高台にある広い農地付きの見晴らしのいい古民家を購入。リフォームも検討されたそうですが、古民家は解体し、理想の家を新築。令和6年12月に県内水戸市から大子町に移住し、田舎暮らしをスタートさせました。
なぜ大子町に移住しようと思ったの?
(聡さん)
移住先を大子町に決めたのは後になってからですが、「定年後は、県北の山に囲まれたのどかな地域に住みたい」という気持ちが、ずっと以前からありました。定年前まだ何年もあるうちから、大子町を含め県北の市町を見て歩いていました。
そんな中で、大子町は景色のイメージが一番しっくりきたこと、また、地域の小さなイベントがしょっちゅう開催されていたり、空き店舗を活用したまち作りが行われていたりと、人口減少、高齢化の割に寂しさを感じない「住む人が元気な町」という印象だったことからだんだんと大子町に住みたいと思うようになりました。
(松田さん/インタビュアー(空き家バンク相談センター移住相談員))
お二人は、移住前から町内の様々なイベントに参加し、とても多くの町民の方々とつながりを持っていたと伺っています。町内各地のたくさんの方が既に西宮さんのことをご存じだったことに、とても驚いていました。
(奥さん)
そうですね。つながりは、地域のイベントへの参加がきっかけで増えていきました。多くの茶農家やりんご園が参加する「奥久慈茶カフェ巡り」は、町内の隅々まで回ることができるイベントでした。また、「大子ふるさと博覧会」でも、地元の方々が自ら企画したイベントを行っていて、町中をめぐるなかで顔を覚えていただいたり、大子町の雰囲気を感じ取ることができました。
佐原地区の産業文化祭や、下野宮の近津神社の中田植など、中心市街地から離れた地域でも、町民の皆さんがその土地ごとの文化や習慣を大切にし、楽しそうに活動されているのを見て、私たちもこういった取り組みに参加できたらいいなと思いました。
(聡さん)
イベントなどで楽しませていただいた結果、地域の皆さんとのつながりができました。
また、土地を探すにあたって不動産屋さんに行ったり、空き家の持ち主の方に直接伺ったこともありましたが、地元の方と知り合いになって、人づてで教えてもらうのがいいのかなと思うようになり、積極的に人を覚えようとした面もあります。
移住を決めてから、これまでの経緯は?
(聡さん)
二人とも昨年三月まで勤めていたので、土日しかこちらに来られず、あまり具体的な準備を進めることはできませんでした。
大子町がいいな、ということは固まってきたのですが、大子町のどこに住むのかがなかな決まらなかったので、ずいぶん長く探し続けました。大子へは、ほぼ毎週訪れていました。
私の「のどかで広いところで自給自足的に農作物を作りたい」という希望や、妻の「遠くが見渡せる景色の良いところに住みたい」という希望に合った物件を探して歩きました。左貫のように、茶畑と田んぼが広がり、その向こうに山が見える景色をいいなと思いましたし、相川や中郷、生瀬の景色も気に入っていました。そのように、色々な条件と照らし合わせて探していた期間が長いです。最終的には、松田さんから紹介していただいたこの場所に決まりました。
(松田さん)
この物件にしようと思った決め手はなんですか?
この場所に元々立っていた古民家は、とてもいい雰囲気でしたが建物としては状態があまりよくありませんでしたが。
(聡さん)
同時期に見ていた別の物件は、雰囲気はすごく好きでしたが、山を背負っており、大雨の後かなり水が出ていたことから、湿害で家が傷むことが心配になり、候補から外れました。
今の場所は、希望よりかなり面積が広かったので、実際のところ決めるまでには少し迷いました。
探し始めのうちはもっと市街地から離れた場所をイメージしていましたが、今の場所はのどかな雰囲気を残しつつ、比較的便利なのでよかったなと思います。
(松田さん)
古民家を解体して新築の家を建てられましたが、それはどのように決めましたか?
(聡さん)
土地を探し始めた頃は、一から家を建てようと考えていて、更地を探していましたが、なかなか見つからず、解体を前提に中古物件も検討するようになりました。ここの物件を見た時、とても雰囲気のいい古民家だったので、リフォームも考えるようになりました。
建築業者さんと話し合ってみたところ、断熱をしっかりやろうと思うと、いいなと思った外観はほとんど残らない上、かなり高額になる、またせっかくリフォームをしても古い屋根は後々どうなるか分からないということでした。ですので、古民家を解体して新築した方が心配がないと思い、そのように決めました。
(松田さん)
今後、移住やマイホームを検討している方の参考のために伺いますが、新築する際、大子町の補助金を利用しましたか?
(聡さん)
「木造住宅建設助成金(※1)」を利用しました。限度額の100万円まで助成を受けました。
また、浄化槽については、町が行っている「大子町浄化槽整備事業(※2)」を利用しています。
※1「木造住宅建設助成金」
茨城県産木材を使った住宅を新築する方にご利用いただける助成金です。
・町内に居住するための住宅を新築する
・延床面積が50平方メートル以上
・木材に茨城県産材を2分の1以上使用する
・町内の建設業者が施工する
などの条件を満たす場合、最大100万円の助成を受けられます。
(問い合わせ先:大子町役場建設課 0295-72-2611)
※2「大子町浄化槽整備事業」
町が主体となり、浄化槽の設置から維持管理まで行う事業です。
大子町全域が対象で、使用料をお支払いいただくことで、浄化槽を新たに設置する際の住民負担を大きく軽減し、適切に維持管理を行います。
町営浄化槽の新規設置が必要な際は、申請書の提出をお願いいたします。
(問い合わせ先:大子町役場水道課 0295-72-2221)
(松田さん)
素敵な薪ストーブがありますが、薪はどのように調達していますか?
(聡さん)
もとの古民家を解体したときに、柱や梁を分解して置いていっていただいたので、それを使っています。薪に使えるサイズに切り分けた時はかなり大変で、表面からはわからないところに、抜けないように湾曲した五寸釘が打ち込まれていたりして、チェンソーの刃をいためないよう、釘をバールで引き抜く作業に苦労しました。
そのほか、解体業者さんや大工さんが薪や伐採した木を持ってきてくれました。
現在までの生活や取り組んでいることはどんな感じ?
(聡さん)
一昨年度いっぱいで引退してからは、二人とも就業はしていません。
家財の搬入や整理など、引っ越しの作業をすべて自分たちの手で行っていたので、それに時間をとられていました。
(奥さん)
庭中に木がうっそうと茂っていて、周りの景色が見えなかったので、それらの整理をするのも大変でした。
(聡さん)
そうした作業がひと段落したので、最近はようやく畑仕事ができるようになってきました。畑の土質が乾くと堅くなる粘土質で石も多く含むため、スコップも入りづらく手作業で耕すのが大変でしたので、地域の方から耕運機をお借りしていました。最近中古で、重量のある大きな耕運機を買い、見違えるように作業がはかどっています。
今後挑戦したいことは?
(聡さん)
今の延長かなと思っています。畑をしっかりやりたいと思っていて、そうすると自分たちが食べる分以上に出来てしまうので、多くとれた分は直売所に出すなどしたいです。余裕ができてくれば鶏を数羽程度飼ってみたいですし、ゆくゆくは田んぼも少しだけやってみたいと思います。機械が入りづらい田んぼで、また耕作しなくなってからかなり年数が経っているようなので、少しハードルがありますが。用水がないので、沢水や湧き水を利用することになります。
(松田さん)
直売所はどこを考えていますか?
(聡さん)
「だいご味らんど」の会員になる方法があると聞いています。
町なかと、道の駅にそれぞれ店舗があるので、客層にあわせて出せるものを考えたいです。道の駅には外からのお客さんが訪れるので、珍しい野菜などを加えてもいいかなと考えています。
余談ですが、道の駅で言えば、近隣の常陸大宮市が強力なライバルですよね。
大子町を町外の人にPRするとしたら?
(聡さん)
町内のあちこちで、春にはカタクリや桜が咲き、初夏にはホタルが舞うなど、地元の方にとっては普通の景色であまり気にしていないかもしれませんが自然豊かです。カワセミも見かけるし、キツツキのドラミングも聞こえます。
大子に限らないのかもしれませんが、色々な方にとても親切にしていただいています。自然環境に注目してここを選んだ面が強かったのですが、住み心地がいいなと感じます。
また、歴史の古い町だそうで、依上保は相当昔からある地名のようですね。歴史好きの人にアピールするのも良いのではないでしょうか。
(松田さん)
大子町は、大きな病院や商業施設まではそこそこ距離がある町ですが、不便は感じていませんか?
(聡さん)
病院についてはこれから考えたいと思っているところですが、買い物に関しては、普段はそこまで不便を感じていません。自分たちは、水戸の環境でも人や車が多くなりすぎたと感じますが、便利な町というとどうしてもそうなってしまう。最寄りのスーパーに行くにも距離の割に時間がかかってしまいます。ですので、「これくらいでいいかな」と思っています。(ホームセンターが閉まっちゃうのが早いかなとか、もう少し店舗間の競争があった方がいいかなとは思いますが。)
今後の大子町に望むことは?
(聡さん)
せっかく自然豊かな環境が魅力の町なので、例えば太陽光発電設備など、再エネはとても大事だと思いますが、あまり目につくところに広がってほしくはないです。自然環境をどんどんPRしてもらいたいですね。
日本全国で少子高齢化が進んでいくなかで、少しでも大子町の人口減少を遅らせる必要があると考えた時に、呼び込む層を「子育て世代」などに限定すると、大きい企業を誘致しないとだめだとか、学校がたくさんないといけないとか、ハードルが高くなってしまうので、年齢の高い層までターゲットを広げてもいいのかなという気がします。
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